
はじめに
外壁塗装を検討するとき、「どの塗料を選べばいいのか分からない」と感じる方は多いのではないでしょうか。
現在は、シリコン・フッ素・無機など、さまざまな種類の塗料があり、「耐久年数が長いものを選べば安心」と考えてしまいがちです。
しかし、実際の塗装工事では、塗料のグレードだけを見て施工するわけではありません。
同じ塗料であっても、外壁の素材や現在の塗膜の状態、劣化の進み方によって、下塗り材や施工方法を検討する必要があります。
では、塗装職人や施工担当者は、現地で一体どこを見ているのでしょうか。
今回は、普段はなかなか見る機会のない「現地調査から施工仕様が決まるまで」の流れを、塗装の現場目線から解説します。
1|最初に見るのは「何でできた外壁なのか」
まず確認するのが、建物の外壁材です。
代表的なものだけでも、窯業系サイディング、モルタル、ALC、金属系サイディングなどがあります。
一見するとどれも「壁」ですが、素材によって水分の吸い込み方や表面の状態、ひび割れの起こり方などが異なります。
さらに注意したいのが、同じ窯業系サイディングだからといって、すべて同じ条件とは限らないということです。
新築時の表面処理や既存塗膜、特殊な表面コーティングなどによって、塗装時の対応が変わる場合があります。
例えば、一般的な塗膜の上に塗装する場合と、表面に特殊なコーティングが施されたサイディングでは、塗料の密着性について確認すべきポイントが異なります。
そのため、現地調査では、
「外壁の種類」
→「現在どのような表面になっているか」
というところまで確認することが重要です。
単純に「サイディングだからこの塗料」と決めるわけではありません。
2|「色褪せ」だけを見ているわけではない
外壁塗装というと、まず「色が褪せているか」を確認するイメージがあるかもしれません。
もちろん色褪せも重要な判断材料ですが、現地ではそれ以外にもさまざまな部分を確認します。
例えば、外壁を手で触ったときに白い粉が付着するチョーキング。
これは塗膜の表面が紫外線や風雨などの影響を受け、顔料などが表面に現れる現象です。
さらに、
- コケ・カビ・藻の発生
- 塗膜の膨れや剥がれ
- 外壁表面の細かなひび割れ
- 深いクラック
- 外壁材の欠損
- シーリングのひび割れや剥離
なども確認します。
ここで大切なのは、「劣化している=すぐ塗料を決める」ではないこと。
例えば、外壁にひび割れがあれば、そのひび割れが表面的なものなのか、外壁材そのものに関係するものなのかを確認する必要があります。
塗装だけでは対応できない劣化がある場合は、先に補修について考えなければなりません。
つまり現地調査は、塗料を選ぶためだけのものではなく、「今の建物に何が必要なのかを判断するための工程」でもあります。
3|実は「外壁の吸い込み」も施工仕様に関係する
ここは、一般の方には少し分かりにくいポイントです。
外壁の状態によっては、塗料を塗ったときに表面へどの程度吸い込むのかが変わります。
特に劣化が進んだ外壁では、表面が乾燥していたり、塗膜が弱くなっていたりすることで、塗料の吸い込みが大きくなることがあります。
吸い込みが大きい状態では、塗料が均一に仕上がりにくくなることがあるため、下塗り材によって表面を整え、上塗り材を適切に施工できる状態にすることが重要になります。
だからこそ、下塗りは単なる「1回目の塗装」ではありません。
上塗り塗料をきちんと機能させるために、下地と上塗りの間をつなぐ重要な工程です。
外壁の状態を見ずに「高い塗料を塗れば大丈夫」と考えるのではなく、まずその塗料を施工できる状態へ下地を整える必要があります。
4|「下塗り材」は外壁によって使い分ける
上塗り塗料については「シリコンにするか、フッ素にするか、無機にするか」と比較することが多いですが、現場では下塗り材の選択も非常に重要です。
下塗り材には、シーラー、プライマー、フィラーなどさまざまな種類があります。
それぞれ役割や適用できる下地が異なるため、外壁の素材や状態を確認したうえで選択する必要があります。
例えば、劣化した外壁では吸い込みを抑えることが重要になる場合がありますし、細かな凹凸や状態に応じて下地を整えることが必要になる場合もあります。
また、既存塗膜との相性についても確認が必要です。
つまり、
「どの上塗り塗料を使うか」だけではなく、「その塗料を何の上に、どの下塗り材を使って施工するか」まで考えて、ひとつの施工仕様になります。
ここが、カタログだけでは分かりにくい塗装工事のポイントです。
5|「高耐久塗料ならどんな家でもOK」ではない
例えば、同じ「無機系塗料」でも、建物の状態を確認せずに選べばよいわけではありません。
塗料にはそれぞれ適用下地や施工方法があり、メーカーが定める仕様に沿って使用する必要があります。
未来美創で取り扱っているプレマテックスの塗料についても、ウルトラペイントシリーズやグランデシリーズなど、それぞれ製品ごとに施工仕様が設定されています。
そのため、塗料を選ぶときには、
「耐久性が高いか」
「価格はいくらか」
「何年くらい持つか」
だけを見るのではなく、
「この建物、この外壁、この状態に適した仕様なのか」
という視点が欠かせません。
また、塗装工程の回数についても、すべての塗料を一律に「3回塗ればいい」と考えるものではありません。
製品によって工程や塗布量などの仕様が異なるため、使用する塗料のメーカー仕様を確認し、それに沿って施工することが基本になります。
6|塗料だけではなく「シーリング」や「付帯部」も確認する
外壁塗装の現地調査では、外壁だけを見て終わりではありません。
窯業系サイディングなどでは、外壁材同士のつなぎ目にシーリングが使用されています。
このシーリングが硬化してひび割れていたり、外壁との間に隙間ができていたりすると、外壁塗装とは別にシーリングの補修・打ち替えなどを検討する必要があります。
また、
- 雨樋
- 軒天
- 破風板・鼻隠し
- 水切り
- 戸袋
- 霧除け
- ベランダ
- 屋根
などの付帯部も確認します。
例えば、外壁はまだ塗装できる状態でも、鉄部にサビが進んでいれば、その部分には別の下処理や塗装仕様が必要になることがあります。
このように、家全体を見ながら施工内容を組み立てていくことが、現地調査の大きな役割です。
7|現地調査の結果から「施工仕様」が決まる
ここまでの確認をまとめると、塗装工事の仕様はおおむね次のような考え方で決まっていきます。
外壁材を確認する
↓
既存塗膜・下地の状態を見る
↓
劣化症状を確認する
↓
必要な補修を検討する
↓
下塗り材を検討する
↓
上塗り塗料を選定する
↓
メーカー仕様に沿って施工方法・工程を決める
つまり、塗料選びは「カタログを見て決める」だけではありません。
建物を実際に見て、その家に合わせて施工の組み立てを考えるところから始まっています。
まとめ|塗料選びで大切なのは「何を塗るか」だけではない
外壁塗装では、耐久性の高い塗料を選ぶことだけが重要なのではありません。
外壁材の種類、既存塗膜、劣化状態、外壁の吸い込み、シーリングや付帯部の状態などを確認し、それぞれに合った下処理や下塗り材、上塗り塗料を組み合わせることが大切です。
同じ塗料を使ったとしても、下地の状態や施工仕様が違えば、工事の内容も変わってきます。
だからこそ外壁塗装では、「どの塗料が一番いいか」ではなく、「自分の家にはどのような施工仕様が適しているか」という視点で考えることが重要です。
未来美創では、建物の状態を確認したうえで、外壁材や劣化状況などに合わせた施工内容をご提案しています。









